前回に引き続き、企画展「橋本照展 水彩の道を歩んで」の紹介をしていきたいと思います。


全体の展示風景

橋本照は、蝶の羽や夕暮れの街、廃船をモチーフとした抽象絵画を展開した後、風景画を描き始め、1980年代前半から北海道のオホーツク海や涛沸湖、大雪山を描いた作品を発表します。

《オホーツク海の月-船が逝く-》1984年

右上部分の拡大写真

寂しげでありながら静謐とした夜のオホーツク海を描いたこの作品。よく観ると、キラキラと輝く素材で空や海に反射する光を表現しているのがわかります。


《雲気如竜行(濤沸湖)》1991年     喜多方市美術館所蔵

一瞬で変わる天候、暗く立ち込める雲を、水をたっぷり含ませた筆でダイナミックに描いています。水彩ならではの表現を追い求めた橋本らしい風景描写です。


《凛々悲秋意》1990年 喜多方市美術館所蔵

晩秋の大雪山の山並みの寂しげな佇まいを描写した本作は、会津の雪山のような厳しさをも感じさせます。北海道の風景でありながら、会津に暮らす私たちにも共感を呼び起こします。

いずれの作品も、水彩表現を通して北海道の風景と出会った時の驚きや感動が伝わってくるかのようです。


次回も、展示作品について紹介していきます。