2020年度企画展「橋本照展 水彩の道を歩んで」は、5月18日(月)に開館しましたが、美術館の緊急改修のため5月19日(火)より当分の間休館となりました。

少しでも多くの方に作品をご覧いただけるよう、今回から「橋本照展 水彩の道を歩んで」出品作品について紹介していきたいと思います。


水彩画家・橋本照(1927-2014)は東京都大田区に生まれ、新潟、西会津町野沢を経て猪苗代町に定住しました。旧制喜多方中学校(現福島県立喜多方高等学校)を卒業後、檜原小学校(現北塩原村立裏磐梯小学校)で教員としての第一歩を踏み出しました。

その後猪苗代町の翁島小学校に赴任すると、当時の校長から画用紙に絵を描く課題が与えられ、それが水彩画を描くきっかけとなります。1958(昭和33)年に会津美術展(現会津総合美術展)や福島県美術展(現福島県総合美術展)、翌59(昭和34)年には水彩連盟展に出品し、それらの展覧会を中心に長く作品を発表し続けました。

写真は1965年頃、自宅アトリエでの一枚です。

 

《破船》(1950年代)は、橋本が初めて描いた抽象画です。英字新聞を貼り合わせ、絵の具を勢いよく弾いて船のイメージを作り出しています。

 

1975(昭和45)年に制作された《黒い太陽の下(破船)》では、さらに作品のサイズが大きくなり、英字新聞のコラージュが廃船の骨組みの部分で使用されています。廃船が持つ寂しさ、侘しさの表現を追求し続けた集大成と言えるでしょう。

次回も、橋本の画業と作品についてご紹介いたします。