3月7日(土)より、「第25回 2019公募:ふるさとの風景展in喜多方」を開催しています。

この度、公募展大賞を受賞された兵庫県在住の大瀧千絵様が来館されました。今回、オープニング恒例の表彰式が中止されたにもかかわらず、北の寒冷地である喜多方市まで足をお運びいただき感謝に耐えません。折角の機会であり、作品制作に関わるお話を公募展実行委員長の星陽子さんと聞かせていただきました。その概要を掲載いたします。

 

「この度は、このような賞に選んでいただきありがとうございました。実は、この絵が完成したときに、偶然にも、インターネットでこちらの公募情報をたまたま見つけました。公募の趣旨にも自分の作品がぴったりだと思ったものですから、応募することにしました。それがこんな賞になるとは本当に驚きました。

この絵を描くことになったきっかけですが、去年のお正月に広島に帰省しておりました。その際に、義母が柿を大量にもらったので干し柿を作ることになり、干す作業が終わった時に、冬の光がパアッと差してきました。窓越しに見たその様子がとても美しく見えて、とにかく、この風景を作品にして残したいという衝動にかられました。私はこれまで写実の風景というのをほとんど描いたことがなかったのです。というのは、自分にとってこの世に無いものを作り出すのが芸術だと思っていて、写実の世界というのは、あらためて私が作品にするまでもないという信念があったのです。けれども、この風景を見た時は、このまま写実の作品として残したいと思いました。

また、義母が住んでいるのが広島の大崎下島なのですが、年々過疎化が進んでいまして、今描かないと、この風景がなくなってしまうという危機感もありました。

描いている時は自分でも不思議なのですが、自分で自分が癒やされるというか、心静かに制作することができました。自分の風景画のシリーズのなかでも新しいものが開拓できて、その第一歩になったかなと、少し思っています。この風景を作ってくれた義母に感謝をしています。

実母にも素直に褒めてもらいました。手放しで褒めてもらったのが本当に初めてだったものですから、この歳になって親孝行ができてよかったと思いました。この美術館のおかげです。

この受賞に恥じないように、これからも襟を正して制作に邁進していきたいと思います。」

 

お話が終わるまで、家族の方々も笑顔で聞き入っておられたのが印象的でした。

大賞の大瀧 千絵さん(左)と委員長の星 陽子氏

 

当館は、展覧会初日の受賞者表彰式とギャラリートークを中止いたしましたが、平常通り開館しております。

~ご来館されるお客様へのお願い~

・館内入口に消毒用アルコールを設置しています。手指の消毒にご利用ください。

・マスクを着用する、咳やくしゃみをする際にハンカチや袖で口・鼻を覆うなどの、「咳エチケット」にご配慮ください。

・スタッフがマスクを着用して業務にあたる場合があります。ご了承ください。